昨日突然飛び込んできた、スカイマーク経営破綻のニュース。
今日になってだいぶ情報も出揃ってきたのですが、その要因に関しては、やはりあの「巨人機」A380の導入決定とその後をめぐる顛末が、大きな影を落としていたようです。
以下に、Yahoo!JAPANのニュース記事を引用します。
スカイマーク破綻 西久保社長辞任 違約金、円安…力尽き(産経新聞)
業績不振に陥っていたスカイマークが民事再生法の適用を申請し、西久保慎一社長は辞任に追い込まれた。格安航空会社(LCC)の台頭や欧州エアバスからの違約金問題、足元の搭乗率低迷、円安による燃油費の増加など次々とリスクが降りかかり、資金繰りに窮して万策尽きた形で、かつて“空の風雲児”と呼ばれたワンマン社長は退場を余儀なくされた(後略)
(以上引用終了)
良くも悪くも、この人の「ワンマン経営」が仇になったのでしょうね。ワンマン経営は、意思決定のスピードが速いため、うまくいっているときは最強なのですが、ひとたび社内の空気が悪くなったり、外部的要因が悪い方向に影響したりすると、どうしようもないくらい弱くなってしまいます。
上記の記事で言えば、「外部的要因が悪い方向に影響した」のは、やはりA380導入断念によるエアバス社からの違約金請求でしょう。管理人は数ある要因の中でこれが一番の決め手になったように思います。以前の記事でも取り上げましたが、4年前にA380を6機導入することをぶち上げた際、管理人は「本当に大丈夫なのか?」と不安になったものです。だって、その6機を導入するための金額は、当時のスカイマークの年間売上の倍以上の額でしたからね。当時はスカイマークの業績は良かったのですが、その良かったときですら、そのような巨額な投資をしようとしていたので、管理人は不安になったと同時に、地に足がついていない印象を受けました。
やはり引導を渡したのはこの機材?(以前の記事から転載)
地に足が付いていないといえば、A380就航後の国際線の就航先もそう。かつてJAS(日本エアシステム)は、まず中国や韓国、グアム、香港など近距離の国際線から手掛けました。国際線の運営実績のない航空会社が、いきなりNYとかLAとか、ロンドンだパリだと言っても、飛躍しすぎだと思ったことです。最初はボーイング737で、韓国の釜山や済州島とかでもいいじゃないですか。
それと、一昨年だったか、所謂「ミニスカCA」で話題になるなど(このときは、管理人は呆れ果ててブログのネタにしなかった)、本業以外で物議を醸す営業政策が目立ったのも印象に残っています。管理人も男性ですから、確かにCAさんが綺麗な人なら嬉しいですが、だからといってミニスカなどセクシーな衣装をまとってほしいとはこれっぽっちも思いません。キャバクラじゃないんですから。
結局、身の丈に合わない、地に足が付いていない経営を続けてきたから、今回の破綻につながったのだと思います。そしてなぜそういう経営を続けてきたかといえば、やはりLCCの台頭で、スカイマークの立ち位置が中途半端になってしまったことなのでしょうね。JALやANAのようなレガシーキャリアでもなければ、後発のPeachやJetStarのようなLCCでもない。だからこそ西久保社長は、JAL・ANAに次ぐ「第三極」のポジションを確保したくて、無理な投資をぶち上げたのでしょうね。
しかし、管理人としては、「不幸中の幸い」と思えることがひとつ。
それは、大事故が起こる前に経営破綻し、民事再生法適用申請がなされたことです。
スカイマークには、外国人機長の英語を解しないCAが機長の指示を放置したまま運航を続けたとか、風邪を引いて声が出なくなったCAを、外国人機長が非常時の保安に問題があるため会社に他のCAを用意するよう要請したら、社長からそのまま飛ばすよう強要され、呆れた機長が拒否したら会社を解雇されたとか、そういう事例があるそうです。管理人はこれらの話を聞いて、いつか重大事故が起こるのではないかと不安だったのですが、そのような企業の体制が改められるのであれば、それはいいことだと思います。
JAL・ANAの2強体制に風穴を開け、その後のLCC時代への下地を作ったのは、スカイマークの大変大きな功績ですが、同時に決して褒められない事実も前記のようにあったわけですから、今後は、経営の建て直しのみならず、そのような体質を改めることも必要でしょう。
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