このところ連続して、鉄道事業者のプレスリリースをネタにしていますが、今しばらくお付き合いください。
最後に取り上げるのは京成です。
12月5日(土)京成線ダイヤ改正(PDFファイル注意)
モーニングライナー・イブニングライナーの「京成船橋駅」停車および全席座席指定・アクセス特急の最終列車時刻繰り下げおよび増発
京成電鉄(本社:千葉県市川市 社長:三枝 紀生)では、12月5日(土)よりダイヤを改正いたします。
今回のダイヤ改正では朝夕の通勤等でご利用いただいているお客様の利便性向上を図るため、京成上野駅~成田空港駅(または京成成田駅)間で運行している「モーニングライナー」および「イブニングライナー」の停車駅に京成船橋駅を追加し、さらに座席は号車指定(定員制)から全席座席指定といたします。
また、深夜時間帯に成田空港から都心方面への利便性向上を図るため、成田空港駅発上り最終アクセス特急の出発時刻を繰り下げるとともに、22時台に成田空港駅を出発する上りアクセス特急を増発いたします(後略)
(京成電鉄公式HPより)
詳細は上記該当ページをでご覧いただきたいのですが、今回の改正のポイントは
・モーニングライナー・イブニングライナーの停車駅に船橋を追加
・これら両列車を座席定員制から座席指定制に変更
・夜間帯の成田空港駅発アクセス特急増発
といったところですね。
システム変更と停車駅追加
管理人は、イブニングライナー・モーニングライナーが京成船橋に停車しないのは、上野・日暮里・青砥から京成を利用してもらうための戦略ではないかと思っていました。京急の「ウイング号」を京急川崎や横浜に停めないのも、東武の「TJライナー」を和光市に停めないのもそれが理由ですからね。それをあえて京成船橋に停車させるというのは、京成船橋からでも乗ってもらおうという方針転換なんでしょうか。
と同時に、座席定員制から座席指定制へのシステムの転換は、やはり京成船橋という停車駅が増加するからではないかと思いました。京成船橋なら、乗車も下車も両方見込めますからね。
そして、夜間帯のアクセス特急増発は、やはりLCC対策であろうと推察できます。最近、成田は格安航空会社(LCC)の関東での拠点となっており、羽田の再国際化によってやや減少した空港利用客は、LCCのおかげで急増しているとのこと。LCCの便には成田に遅く着く便もあるので、その乗客の便宜を図る目的もあるのでしょう。
アクセス特急が夜間に増発される
アクセス特急には今のところ、京成と京急の車両しか充当されていませんが、都交通局で5300形の後継車が登場した場合、この車両がアクセス特急として乗り入れてくることがあるのか、その辺も注目されます。
以上はダイヤ改正の「光」の部分ですが、「影」も勿論あるわけでして。
その「影」の部分とは、
シティライナー(定期列車としては)廃止
です。
ということは、現在「スカイライナー」に使用されている新AE型登場後も残存していた、先代スカイライナーであるAE100形の退役をも意味することになります。
25年の現役生活に終止符を打つ
実は「シティライナー」はかわいそうな列車でもあったのです。
平成22(2010)年のスカイアクセス開業に伴って、従来の「スカイライナー」のルートで残したのが「シティライナー」だったのですが、当初は7往復あったんです。それが翌年の東日本大震災に伴う計画停電をにらみ、「シティライナー」は全て運休とされました。その後、同年10月から2往復に限って運転を再開したのですが、乗車率は惨憺たるもので、遂に平成24(2012)年10月から1往復のみとなり、成田空港乗り入れもなくなりました。さらに昨年12月からは平日の運転すらなくなって土日祝日のみの運転となり、乗車・撮影が難しい列車となってしまっています。
管理人は、停車駅の追加(京成佐倉など)や特急料金の値下げなどを主張していたのですが、やはり特急料金が高額な上に本数も少なくては、使いにくかったのでしょう。それで今回の廃止に至ったような気がします。
ただ、今にして思うと、京成は「シティライナー」を安楽死させるつもりだったのでは? とも思えるんですけどね。かつて国鉄が東海道新幹線を開業させたとき、在来線にも急行「なにわ」など4往復が残ったのですが、やはり新幹線の速達性は乗客にとって大きな魅力だったようで、そのせいか「なにわ」は乗客が激減し、最後に残った2往復も昭和43(1968)年10月のダイヤ改正で全廃されています。
このときも、国鉄は新幹線にどれだけ乗客が転移するか測りかね、それで在来線の急行を遺したといわれます。
ひょっとしたら京成は、スカイアクセス開業と引き換えに本線系統の有料特急を全廃してしまうと、沿線からの反発が出ることを恐れ、「シティライナー」を存置はしたものの、当時の急行「なにわ」と同じ運命をたどらせたのでは…と思われます。
ただ、今回は「定期列車としての」廃止であり、臨時列車としての運転には含みを残していますので、今後は正月などに成田山新勝寺への参詣客向けの臨時列車として運転されるのでしょう。
そして「シティーライナー」廃止によって、AE100形も退役することが濃厚です。車齢の問題もありますが、同車は制御装置がGTO-VVVFであり、今やVVVF制御としては旧式と化しているので、それをいつまでも使えないというのも理由です。あるいは、同じGTO-VVVFを搭載した通勤車の予備部品を確保する必要もあるでしょう。同車の未来は明るくないように思われます。
AE100形の25年の活躍に、心から敬意を表したいところです。
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№1457.愛すべき未来へ(3) アクセス特急と成田湯川駅
№1466.愛すべき未来へ(5) 解剖! 新型AE車
※ 当記事で使用した写真は、いずれも以前の記事からの転載です。
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3322.シティライナー定期運行廃止・AE100形退役? 京成の12月ダイヤ改正
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