以前に「京王れーるランド」にあった6000系5扉車の前頭部を取り上げた際、6000系5扉車にまつわるお話に終始してしまい、その車内(?)にあった停車駅案内まで話が行かなかったことがあります。今回は、改めてその話題を取り上げようと思います。したがって、当記事はその記事の続編ということになりますが、何とぞお付き合いのほどを。
停車駅案内は3種類。
① 平成13(2001)年3月~平成25(2013)年2月21日まで通用していたもの
② 平成25年2月22日~平成27(2015)年9月24日まで通用していたもの
③ 平成27年9月25日から現在まで通用しているもの(現行のもの)
以下、順に写真をご覧いただきましょう。
① 快速が東府中まで通過運転、準特急はあるが相模原線特急はない
② 相模原線に特急復活、特急が分倍河原・北野に停車するようになった
③現行のもの
①のころは、分倍河原・北野は準特急しか停車せず、相模原線特急もありませんでした。これは平成13年のダイヤ改定の際、新宿-高尾山口間の急行を準特急に格上げしたのと引き換えに相模原線特急をなくしたから。またこの改定の際、快速の停車駅が増やされましたが(八幡山・仙川)、これは各駅停車が従来の9本/時から6本/時に減便されたことの埋め合わせとされています。それでも、東府中までの通過運転は維持されていましたし、相模原線急行は直通先まで急行として運転されていました(日中の場合)。ただし平成18(2006)年には「分割特急」が廃止されて高幡不動での分割併合が消滅するという、寂しい改定内容もありました。
②は東日本大震災関連で運転本数が少なくなり、遂には走らなくなっていた従来の特急をなくして準特急と一本化、新たに「特急」としたもので、このとき特急の停車駅に分倍河原・北野が追加されました。それでは準特急はどうなったかというと、それまでの北野まで準特急・高尾線内各駅停車の「区間準特急」が正式に「準特急」と名乗ることになりました。またこのとき、「区間急行」新設と(従来の通勤快速の停車駅を踏襲)、快速の調布以遠各駅停車化も合わせて行われています。そして相模原線に特急が復活していますが、相模原線内停車駅は急行と同じになりました。以前は京王多摩センターだけの停車でしたが、停車駅が少なすぎて利便性に難があり、それが改善されたということです。
③は現在までつながる列車体系ですが、準特急が相模原線にも走るようになったこと、準特急の停車駅に笹塚・千歳烏山を追加したこと、区間急行の停車駅に仙川を追加したこと、都営新宿線急行は原則笹塚折り返し(笹塚で準特急に接続)に改められたことが主な変更点となっています。
しかし運転本数は増え続け、②の時点で笹塚-調布間では日中あるいは土休日にもかかわらず1時間当たり21本という、驚異的な運転本数となっています。
土休日でも21本/時の証拠写真(調布駅)
流石にこうなると、同区間の複々線化も俎上に上ってくるような気がしますが、どうなるのでしょうか。同区間には地下新線を作る計画があり、それによると笹塚-つつじヶ丘間にひとつも駅を設けないそうですが、いくら何でも明大前にすら駅を設けないのは無茶ではないかとも思われ、計画実現までには紆余曲折が予想されます。実際には、大深度地下に新しい明大前駅を設けるような気がしてならないのですが。特に対小田急を考えた場合、ダイヤ上は京王が圧倒的に有利ですが、実際には朝ラッシュなど混雑時の場合、信号による規制などで遅延する場合が多いといわれており、代々木上原-登戸間の複々線が完成する来年春以降は、小田急が定時性の面で圧倒的な優位に立つという予測もあるので、気になるところです。実際、小田急が次回の改正で多摩線からの千代田線直通列車を全廃してまで対新宿で攻勢に出るのは、言葉は悪いですが、これ以上の設備面の増強がままならない京王の現状を見透かしたともいえるわけでして。
この3枚の停車駅案内を見ていると、京王が都営新宿線との直通や対小田急などを考えて、最適解を求めて模索してきた(今もか?)経過が見えるような気がします。
そうだとすると、停車駅案内を「京王れーるランド」で展示することの意義も大きいように思います。本当は、平成13年以前のものも、デジタルアーカイブでもいいので公開してほしいところですが、それは贅沢でしょうか。
おまけ。
館内の階段踊り場の途中にある、京王車両の模型。
上から初代5000系・現1000系・2600形・6000系5扉車動物園線仕様
2600形があるのは意外な気もしますが、路面電車の延長線上の規格で車長14mの小型車が闊歩していた京王線の、車両大型化の先鞭をつけた車両という、京王と京王線にとっては記念碑的意味合いを持つ車両なので、ここにあることも十分に歴史的意義を踏まえたことなのでしょう。
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