営団地下鉄(→東京メトロ)03系は、全42編成のうち第9~第28編成が両端の車両を5扉にした「5DOORS」の編成となっています。これは、日比谷線は編成の両端に駅の出口へ通じる階段が多く存在することで、編成両端の車両に乗客が集中するため、乗降時間の短縮も狙って投入されました。
最初に投入されたのは、平成2(1990)年に投入された第9編成。この編成は、第7・8編成と同じ「3次車」ですが、この編成だけ試験的に両端2両を5扉とされたものです。
そのため、この編成だけ、5扉車でありながら椅子がバケット型になっていない(03系は第10編成から最終の第42編成に至るまで、バケット型の椅子となっている)のが、最大の特徴となっています。

扉の間隔が狭いのがお分かりいただけるだろうか?
同じような多扉車に、京阪の5000系がありますが、こちらは第2・第4の扉を締め切り、そこに簡易式の腰掛が設けられます。これに対し、03系は第2・第4の扉を締め切ることはできるものの、そこに設ける腰掛はありません。かつては東武線内で第2・第4の扉を締め切って運転していたそうですが、最近は取りやめて5扉全て開閉しています。現在、第2・第4の扉を締め切るのは、中目黒や北千住からの始発列車だけです。これらの駅で締め切る理由は、整列乗車を乱さないためです。
以下、比較の対象として京阪5000系の締め切りドアと、そこに設けられる腰掛をごらん頂きます。いずれもあえてノーキャプションで。


(いずれも以前の記事から転載)
この腰掛は実は昇降式で、ラッシュ時は頭上に畳まれていますが、日中などにはこのように座席を下ろして設けるものです。
03系でもこうすればいいのに…と思いましたが、京阪5000系のこの座席は特許を取得しているらしく、そのロイヤリティの問題もあったのか、03系にこのような座席は搭載されませんでした。
そのためか、03系5扉車は、ラッシュ時には絶大な威力を発揮するものの、日中や土日などには必ずしも評判は良くありません。
こちらが03系5扉車(03-109)の座席↓

扉間3人がけ
3扉の03系が扉間9人がけですから、真ん中の部分にドアを挿入し、両端の座席が残ったというイメージですね。
ちなみに、扉の幅ですが、3扉車が1400mmと広く取られているのに対し、5扉車は増設分も含めて全ての客用扉が1300mm幅となっています。
また、当然のことながら扉間の窓は全て固定式となってしまい、そのため換気能力が落ちることから、強制換気装置を1車あたり2台搭載しています(屋根上の四角い箱がそれ)。
行先表示は、3扉車は扉間にありましたが、5扉車では扉間に設けることができないため、車端部に設置しています。

車端部の行先表示
パンタグラフを搭載した車両は03-209ですが、この車両の連結面の窓が角ばっているのがお分かりですか? これも第1編成と同様、車内からアンテナの差し替えが可能なように、ここだけ2段窓になっているのです。
このあと、5扉車は第28編成まで増殖し、その後バケット型の座席が採用されたり、行先表示が幕からLEDに変更されたり、果ては制御装置がVVVFインバーターに変更されたりしているのですが、機会があれば、同じ5扉車でもそちらの編成を取り上げていこうかと思います。
※ 当記事は08/30付の投稿とします。