以前の記事で、メトロ南北線の駅で「ふれあいコーナー」が残るのは、本駒込・東大前・溜池山王の3駅のみであるという話題を取り上げたことがありますが、現状がどうなっているのか見てみたくなり、1月30日に行って参りました。
以下順次取り上げます。
【本駒込】
改札内の赤羽岩淵方にある。「ふれあいコーナー」の案内看板等はない。しかし、ソフトドリンクの自動販売機・AEDと「本駒文庫」なる自由貸出の本棚がある。
本駒込駅の「ふれあいコーナー」はこうなっています。
やや薄暗くなっている
ホームへの階段との位置関係が分かる写真がこちら。
階段脇にある
しかしこのスペース、ベンチやいすなどは殆ど置かれていません。昨今のコロナ禍故、人が密集しないようにするためでしょうか。
こちらが「本駒文庫」の本棚。
残念ながらスカスカ
どうしてもこの手の、自由貸出の本というのは返却率が低いのが常ですから仕方ないものがありますが…頭で分かっていても、何となく複雑な心境になってしまいます。しかも本を提供する側も、古い本を提供することが多いようですし。まさか「手っ取り早い本の最終処分場」と考えているわけではないと思いたいですが。
【東大前】
本駒込と同様、改札内の赤羽岩淵方にある。
本駒込と同じように、「ふれあいコーナー」の案内看板等はなく、ソフトドリンクの自販機とAEDが置かれているだけ。椅子も2脚のみ。
こちらもがらんとした空間が際立つ
東大前の「ふれあいコーナー」は、本駒込と同じような雰囲気で、周囲より照明の照度を抑えているのも同じです。ただし、本駒込にあった自由貸出の本棚はありません。
ここはコーナー内に壁画が飾られています。それが分かるように撮影したのがこちら。
結構大きい
がらんどうな空間だけが広がっていて、僅かな椅子の他には座る場所がないのは、本駒込もそうですが殺風景な感じがします。金属製やプラスチック製でもいいのでベンチを置いて、自由に座れるようにすればいいのではないかと思いますが。
あるいは、せっかく壁があるのですから、高い位置の机を置いて、ノートパソコンやタブレット端末を置いて使えるようにするとか。東急の待合室はそうしています。
【溜池山王】
「ふれあいコーナー」の案内看板がある。ここは前述の2駅とは異なり、改札内の目黒方にある。また壁が低いので前述の2駅とは異なる開放感がある。壁に沿ってベンチも置かれており、3駅の中では最も「ふれあいコーナー」らしいといえる。
また、周囲の壁が低いためか、照明もかなり明るくなっていることも前述の2駅と異なる。
以下、正面から撮影した全景、壁寄りに設置されたソフトドリンクの自販機2台、さらにコーナー内から改札口を望んだ写真、以上3点をノーキャプションで。
ここが一番設備としては充実していて、「ふれあいコーナー」らしい感じがします。他の2駅も、せめてこのくらいベンチを設置して、照明の照度を上げてほしいところですが。
それまでの営団地下鉄の駅では例がなかった「ふれあいコーナー」の設置は、「7号ビジョン」なるコンセプト、「21世紀を指向する便利で快適な魅力ある地下鉄」を目指したことによります。それによると、
① 利便性の向上・快適性の向上
② ワンマン運転の実施
③ ホームドアの設置
④ 建設費・運営費の削減
が目指されていましたが、「ふれあいコーナー」の設置は、①の「利便性・快適性の向上」に沿うものでしょう。その後、駅の改装工事などで姿を消してしまい、今回取り上げた3駅のみにしか残っていないのは、勿体ないような気もします。
以上、駆け足で3駅を視察して参りましたが、一番「ふれあいコーナー」の当初のコンセプトに忠実なのは、拠点駅の溜池山王だけであることが意外でした。本駒込・東大前の2駅は、せっかく場所が残っているのですから、もっとうまく活用できる方法があるような気がするのですが。今のままでは、何とも勿体ない気がします。
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(この記事の本文中、『ふれあいコーナー』が残っているのは本駒込・東大前・麻布十番だと述べていますが、溜池山王にもありますので、その点は訂正しておきます。なお、この記事をアップした当時は、麻布十番には確かに『ふれあいコーナー』があったのですが、その後なくなってしまいました)