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5430.ローカル線存廃問題再燃~JR西日本社長談話を考える

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(いずれも以前の記事から転載。また写真と本文は全く関係ありません)

 

コロナ禍と政府の愚策に伴い、旅行客が激減、そのあおりをまともに食らっているのが鉄道・バス・航空といった旅客運輸業ですが、鉄道でも輸送密度あるいは収益性の低い路線の維持が難しくなっていることは、部外者の管理人にも容易に想像できます。

だからこのような社長談話が出ても、全くおかしくはないのですが、やはり愛好家としては心配になってしまいます。

 

赤字路線維持「非常に難しい」 JR西日本、自治体と本格協議へ

 

JR西日本の長谷川一明社長は18日の定例記者会見で、赤字が続いているローカル線について、「(黒字路線からの穴埋めで)支えられてきた路線の維持が非常に難しくなってきた」と述べ、今後の在り方をめぐって沿線自治体との協議を本格化させる考えを示した。

JR西は新型コロナウイルス感染拡大の影響で利用客が大幅に減少し、2021年3月期連結純損益が過去最大の2400億円の赤字に転落する見通し。長谷川氏は対象路線への言及を避けたが、自治体などとの間でバスや次世代型路面電車(LRT)を含む代替交通の検討を急ぐ方針だ。

 

jiji.comより)

 

↑のニュースに接して、鉄道趣味界では、廃止になるのはどの路線なのか「廃止路線候補探し」が始まっているようです。管理人にもいくつか思い当たる路線があるにはありますが、ここではそのような路線を挙げることはしません。

 

国鉄時代末期からJR初期にかけ、所謂「特定地方交通線」は全て第三セクターに転換又は廃止→バス転換により、国鉄・JRの路線網からは切り離されました。

国鉄民営化直前、自民党はこのような新聞広告を掲出、国民(利用者)に対するいわば「公約」と受け取った向きが多かったようで、その中では、国鉄(現状)からのサービスの低下はない、と宣言しています。

 

これは当時の自民党の「公約」と国民に受け取られた

 

現実には、その後のJR各社はセクショナリズムを強めたり、ブルートレインが壊滅状態に陥ったり、ローカル線がJR移行後も廃止になったりと、その流れは皆様ご承知のとおり。そのことをもって、この「公約」が守られていないと指摘する向きがあります。

しかし、そのような指摘は現実を無視しているばかりか、あまり生産的ではないといえます。なぜなら、この広告はあくまで「当時」のレベルを想定しているから。まさかこのあと、沿線の過疎化や少子高齢化が(想定を超えて)進んだり、ブルートレインが壊滅的に需要を失ったりなどは、当時の想定の範囲外のことといえるからです。

実際、「特定地方交通線」転換完了後でも、JR各社が独自の判断で廃止している路線も多数に上っています。JR西日本でいえば、可部線の可部-三段峡間、美祢線支線の南大嶺-大嶺間、そして記憶に新しい三江線の全線。これらの路線は全て、JR転換当時に比べても乗客が激減していました。

 

問題は、ローカル線維持にはどうすればいいのか、無理に鉄道を維持する必要がない地域はどうするかを考えるべきということです。

以前から折に触れて述べていますが、管理人は、鉄道には福祉と国防の両方の役割があると思っています。それらは収益性のみで測れるものではありません。再度の国有化を主張する論者もいますが、それは流石に非現実的でしょうから、地上設備の国又は自治体による保有(所謂上下分離方式)、あるいは補助金の適正な投入などが望まれるところです。しかしこれらは、国庫または自治体からの税金の投入をも意味し、果たして納税者である国民の理解が得られるかという問題があります。それでなくても、公共事業悪玉論、緊縮財政論が人口にこれだけ膾炙してしまっては、なおさら難しいのではないかと思います。

個々の路線ばかりではなく、会社として成り立たなくなるJRも出現することが懸念されています。このあたりで国民的な議論が必要ではないかと思いますが…。

 

◇関連記事(記事内の関連記事も是非ご参照ください)

【国鉄の分割民営化に関するもの】

 

 

【JR西日本のローカル線への対応に関するもの】

 

 

【おことわり】

当記事は02/20付の投稿とします。


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