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2100.【記事数2100記念】「歌わなくなった電車」の今【京急2100形】

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最近本業が多忙な管理人です(挨拶

ツイッターだと携帯で気軽にできるのですが、ブログだとやはり自分の文章として考えてまとめなければならないので、ついついお留守になってしまいました。


それでも何とか、今回の更新でブログナンバー2100に達することになりました(削除した記事や模型ブログから移植した記事もあるので、ジャスト2100ではないが)。これもひとえに、皆様方のおかげでございます。改めて御礼を申し上げますm(__)m

そこで今回は、ブログナンバー2100にふさわしいネタをと思いまして、京急2100のネタを持って参りました。

なお、冒頭の写真は三崎口駅で撮影したものです。


2100形は、先代の2000形の後継車として、平成10(1998)年から投入が開始された車両で、特急より上位の「快特」用として、関東大手私鉄では珍しい2扉オールクロスシートとなっています。

扉は両開き(ただし幅1200mmで標準的なものよりは狭い)、扉間は転換クロスシート(ただし手動転換は不可)、車端部はボックス席となっています。


まずは特徴的な扉付近↓



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補助席が畳まれているのが分かる


ドアの脇には仕切りを兼ねて補助席が設置されていまして、座席がいっぱいのときはこれを引き出して座ることができるようになっています。

補助席のアップがこちら↓



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青地に赤のドット模様


そして車内の造作はご覧のとおり↓



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座り心地のよさそうな座席が並ぶ


同じような「2扉・転換クロスシート」の車両には、京阪の8000系や西鉄の8000形(ただしいずれも車端部はロングシート)、阪急の6300形(京都線特急運用当時)などがありますが、これらと比べても全く引けをとらないどころか、腰を下ろしてしまうと長距離列車の雰囲気すら漂います。

ところで、他社と決定的に違うのが座席。実はこれ、外国産(座席本体はノルウェー製、表地はスウェーデン製。車端部と補助席は本体が日本製)のもので、座面がちゃんと変化する優れものです。ただし手動での転換はできませんが、これは手動転換を不可にすることでシートピッチを詰め、座席定員を多くすることに役立っています。

手動転換不可の座席のため、座席にはこんな注意書きが↓



さすらい館-120218_141303.jpg
「イスの向きはかえられません」


たぶん、無謀なチャレンジを試みて玉砕していった乗客が結構いるんでしょうねえ。


2100形は座席以外にも外国製品を積極的に採用しておりまして、その最たるものは制御装置。独シーメンス(ジーメンスとも)社製のVVVFインバーター制御装置を搭載し、周波数の変動とともに「♪ファーソラシドレミファソー」と鳴る、いわゆる「歌う制御装置」を導入したことで有名となり、愛好家以外の沿線住民や一般利用者にも、「歌う電車」として親しまれました。

なお、2100形の他には、新1000形の一部も独シーメンス社製の制御装置を搭載して落成しました。


しかし、この機器は保守面などにおいて難があり(一説にはアフターサービスに難があったとも)、数年前から日本製機器(IGBT-VVVF)への置き換えが開始され、置き換えられた編成は起動音などが変化し、「歌う」ことがなくなってしまいました。現在は独シーメンス社製の機器を搭載している車両は僅かとなっており、2100形全編成が「歌わなくなる」日も間近となっています。

2100形は平成12(2000)年までに8連×10本の合計80両が落成し、快特や平日夕方ラッシュ時の座席定員制列車「ウイング号」に使用されていますが、もちろん全車健在です。

ただ、この車両は空港連絡にも使用できるように、車端部のボックス席の座面を跳ね上げて荷物置き場にすることが可能となっている構造を採用し、さらに都営浅草線に乗り入れが可能な規格となっていますが、現在に至るまで都営浅草線やその先の京成線には、営業運転では乗り入れていません。成田へ向かう「アクセス特急」など、2100形に最適任ではないかとも思ってしまいますが…。

また、当初計画されていた増結用の4連は結局製造されず、増結は600形や新1000形で賄っています。

ちなみに、制御装置の換装は順次進められていますが、内装のリニューアルは行われていないようで、登場当時のままとなっています。


現在は、品川発着の快特も、都営浅草線との乗り換えの便宜を図ったのか、1駅だけ泉岳寺まで延伸されました。

三崎口駅では、こんな行先表示を見ることができます↓



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「品川方面泉岳寺」とな


確かに三崎口や久里浜・横須賀などで、「泉岳寺」と聞いても「どこ?」という話になりますからねえ。


ところで、三崎口といえば、三崎のマグロもそうですが、鉄道愛好家的に気になるのは、油壺延伸がどうなるかですね。

三崎口駅の先に、あまりにも有名なこの構造物があります↓



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写真のアンダーパスが役に立つ日はいつ?


現在は油壺延伸計画当時よりも自動車が優位な社会になってしまいましたので、採算性などの面で疑問視されているようですが、愛好家としては楽しみにしたいものですね。


さらに、今回のおまけ。

珍しい駅名「YRP野比」の駅名標↓



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これはインパクトがある


この駅はもともとは「野比」だったんですが、近くに「横須賀リサーチパーク」なる施設がオープンしたのを機に「Yokosuka Research Park 野比」=「YRP野比」に改称したんですね。


京急2100形も、今年で登場から15年目を迎え、さらに2扉車が乗降性の面で使いにくいという声もあるなど、その先行きには一抹の不安もなくはないですが、関東私鉄随一の高速運転を行う私鉄のフラッグシップとして、元気な活躍を続けてほしいものです。


◇関連記事

№597.京急ウイング号に乗る (京急ウイング号の乗車体験記です)

№1392.いつみても波瀾万丈~feat.京急2000形 (先代の2000形の記事です)


※ 当記事は02/18付の投稿とします。


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