国鉄時代「通勤五方面作戦」というのがあって、「五方面」(東海道/横須賀・中央・東北/高崎・常磐・総武)それぞれの複々線化などの輸送力増強工事がなされました。これが国鉄財政が傾く遠因になったという識者もいますが、現在ではこれらの工事のおかげで、五方面いずれも十分な輸送力が確保できています。
しかし、グリーン車によるサービスは、国鉄時代は当初「五方面」のうちの1方面にしかなく、後に総武快速への連結が実現して2方面となりましたが、後の2方面である東北・高崎線と常磐線方面へのグリーン車連結が実現したのは、JR発足後しばらく経ってからです(※)。
それでも、中央線方面は、上記「五方面」の中で唯一、グリーン車によるサービスと無縁な路線でした。
それがこの度、遂に平成32(2020)年をめどにグリーン車連結が実現し、グリーン車によるサービスの空白エリアだった最後の1方面が埋められることになりました!
中央快速線等へのグリーン車サービスの導入について(JR東日本公式・PDFファイルです)
○JR東日本では、「グループ経営構想Ⅴ ~限りなき前進~」において、速達性や着席サービス、直通サービスの強化を目的とした東京圏ネットワークの充実を掲げています。
○着席サービスに対するニーズの高い中央線等について、着実なサービス改善を目指し、中央快速線等に、新たに2階建てグリーン車2両を連結(12両化)します。これにより、首都圏の主要5方面(東海道、中央、東北、常磐、総武方面)すべてにグリーン車が導入されることとなります。
○グリーン車サービスは2020年度に開始することを目指し、本年度より基本設計に着手します。
(以上引用終了)
詳細は上記リンクをクリックしてお読みいただきたいのですが、遂に中央快速線にグリーン車ですか。これによると、現行の中央快速線の編成から普通車を抜いてグリーン車2両を組み込むのではなく、そのままグリーン車を2両組み込むようですが、これには驚かされました。つまり、分割編成は基本8連+付属4連、貫通編成は12連貫通となります。12連貫通編成は、現在の日本の在来線では最長の貫通編成ともなります。

この「特急12」の停止位置まで電車が来る
東京駅の中央線高架ホームは、12連対応になっています。これは、「スーパーあずさ」のE351系のフル編成が入れるようにこの長さにしたのですが、まさか今になってこの長さが役に立つとは。
中央快速線にグリーン車が導入されるということはですよ、こういう光景も出来するわけでして↓

東京駅東海道線ホームのSuicaグリーン券券売機 これが中央快速ホームにも設置されることになる
夕刻の帰宅ラッシュ時には、この写真のように、グリーン券を買い求める利用者が集まるのでしょうね。
そして東京駅高架ホームでもこのような車両がみられることに↓

帯がオレンジ1色に?
どこかのサイトで、2階建てグリーン車の帯をオレンジ1色にした写真が出ていましたが、仕事が早いなあ(感心)。管理人には写真を加工する技術はありません。せいぜい、顔を隠すくらいなものですよ。こういうことのできる「職人さん」は、管理人も尊敬してしまいます。
東京五輪開催の年に実現する、中央快速へのグリーン車連結。
実は、国鉄が「通勤五方面作戦」を立案したのは、昭和39(1964)年のことです。昭和39年といえば、言わずと知れた前回の東京五輪の開催年。前回の東京五輪の開催年に「通勤五方面作戦」が立案され、次の東京五輪の開催年に「五方面」に全てグリーン車連結列車が出揃うというのも、単なる偶然なのでしょうが、何か歴史の配剤のようなものを感じてしまいます。
他方、中央快速へのグリーン車の連結、問題点もあります。具体的には、様々な問題が指摘できようかとも思うのですが、それは記事の分量が多くなりましたので、記事を分けることにいたします。
最後に今回のおまけ。「上野東京ライン」開業準備が進行している東京駅7・8番ホーム↓

紙が貼ってある
もう「上野東京ライン」の表示は準備済みなんでしょうね。これが剥がされるのが楽しみです。
てなわけで → 次の記事に続く
※ 国鉄時代にも、東北/高崎線方面などは、急行列車の間合いなどでグリーン車付きの編成が普通列車として運用されることがあったし、中央線でもグリーン車を組み込んだ115系編成が1本だけあって、それが普通列車にも使われたが、イレギュラーな運用なのでここでは考慮していない。