メトロ南北線を軸とした、東急目黒線~南北線~埼玉高速鉄道の相互直通ルート。
このルートの主力は、やはりメトロ9000系。
来たのは9105F・第5編成
第5編成といえば、9000系初期型の面影を最も色濃く残している編成ですから、浦和美園駅停車中に記録しておきました。
9000系は、平成2(1990)年に試作車第1編成が4連で登場、様々な試験に供され、翌年の駒込-赤羽岩淵間の開業を待ちます。そして開業と同時に第2~8編成が、やはり4連で登場しました。
平成8(1996)年の四ッ谷開業時に、初めて南北線は既存の地下鉄路線と接続することになるのですが、このときに増備されたのが第9~13編成(6連)と、既存編成に組み込む中間車16両です。第8編成までは同じVVVFでもGTO素子を採用していたのですが、今回の増備分からIGBTに変更されました。そして既存編成を4→6連にするための中間車については、2・4・6・8の偶数編成に4両組み込まれ、該当編成から抜かれた中間車は1・3・5・7の奇数編成に組み込まれています。これはいうまでもなく、同一編成内で素子の仕様を共通化するためでした。
その後の増備車に関しては割愛しますが、いずれにせよ、9000系のうちでも第1・3・5・7編成の4本は、9000系の初期型の面影を色濃く残しています。
運転台直後の仕切りはこうなっています↓
結構な開放感がある
やはり地下区間ということで開放感を演出したかったのでしょうか。いくら地下のみを走るとはいっても(9000系が地上を走るようになったのは、東急目黒線との相互直通運転が開始されてから)、仕切りは開放的な方がいいですからね。
そしてこちらが客室。
FRPが多用されている
このころの車両のトレンドなのか、9000系の初期型の内装にはFRPが多用されていました。
この車両も、座席の袖仕切りなどは登場当時のままですが、窓枠は登場当時とは異なっています。その理由は、登場当時はロールカーテンを仕込んでいないFRPの窓枠だったものを、ロールカーテンを仕込んだアルミ製の窓枠に取り換えたから。言うまでもなく東急目黒線への直通によって地上区間を走るようになったからですが、カーテンを仕込む必要のない妻面の窓は、登場当時のままになっています。
そして9000系初期型を最も強烈に特徴づけるものと言えば、車端部に設けられた4人掛けのボックス席です。
地下鉄車両でボックス席を有するのは、乗入れ相手を除けばこれと都営6300だけ
↑の写真、アルミの側窓枠とFRPのままの妻面窓枠との差異もお分かり頂けるかと思います。
↑の写真は一般席ですが、こちらは優先席仕様↓
優先席はモケットが濃いブルーになっている
一般席とはモケットの色を変え、優先席をアピールしています。
ところで、なぜ地下鉄車両でありながらこのようなボックス席があるかといえば、当初は東急の乗入れ車両が9000系だと考えられていたから。そのため、仕様を揃える目的で、都営ともども車端部にボックス席を用意したわけで。
しかしその後、東急の乗入れ車両は9000系ではなく新造の3000系とされました。そのためか、9000系も車端部のボックス席を有するのは第1~8編成として落成した車両だけで、現在の第2・4・6・8編成は、両先頭車だけがボックス席を有しています。余談ながら、都6300形も、車端部にボックス席を有する編成は、全37編成中初期の13編成だけになっています。
ともあれ、9000系は全部で23編成を数えるまでに増え、日夜このルートを往来しています。
ところで、今後、9000系の運命を大きく変えそうな出来事が起こります。
それは「東部方面線」、東急-相鉄連絡線の完成。
これが完成すれば、東急と相鉄との相互直通運転が開始されることになりますが、東急側の乗り入れる列車が東横線なのか目黒線なのか、そこは今のところ明らかになっていません。しかし、東横線はメトロ副都心線、さらにその先の東武東上線・西武池袋線とつながっていて、運転系統も複雑化していること、西武が既に相鉄への乗り入れを行わない旨を表明していることなどを考えると、東横線よりも目黒線ではないかと思われます。勿論、目黒線だとしたら6連のままなのかという問題は当然ありますが、管理人はこれを機会に目黒線関係の編成を8連化するとにらんでいます。もともと目黒線と南北線・都営三田線との相互直通運転開始の直前、都交通局は8連化を主張したのですが営団(当時)が難色を示し、結局6連のままになったという経緯がありますので、今度こそは8連化がなるのではないか、と。
そしてそうなると、今度は9000系の去就についても不透明になってきます。初期型、特にGTO素子を搭載している1・3・5・7の各編成は、車体等の経年劣化のみならず、半導体の劣化の問題にも直面するからです。となれば、相鉄直通を機会に初期車は退役となっても、全くおかしくありません。もう登場25年目を数える初期型に関して、リニューアルの話が全く聞こえてこないのも気がかりです。
そうなると、9000系初期型は、意外に早い段階で淘汰されるのではないかとも思われます。
今すぐどうこうなるというわけではありませんが、今のうちに9000系初期型に注目しておいても損はないと思います。
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