冒頭の写真は以前の記事からの転載です。
平成元(1989)年にさっそうとデビューし、それ以来「ひだ」で、その3年後の平成4(1992)年には「南紀」に投入され、走り続けてきたキハ85系ですが、遂に代替車を見据えた動きが出るようになりました。
ハイブリッド方式による次期特急車両(試験走行車)の新製について 平成29年6月7日 東海旅客鉄道株式会社
※ PDFファイル注意
現在、特急「ひだ」「南紀」に使用している85系気動車の取替を見据え、当社では初となるハイブリッド方式を採用した次期特急車両(試験走行車)を新製します。
これまで、ハイブリッド方式に必要な技術開発を行ってきましたが、平成31年末から試験走行車により、技術の確立に向けた試験走行を行っていきます。
これにより、安全性や快適性を高めつつ、ハイブリッド方式の鉄道車両では国内初の最高速度120km/h での営業運転を目指します(後略)
(JR東海公式より)
詳細はリンク先をクリックしてご覧いただきたいのですが、日付をご覧いただいてお分かりのとおり、この話題は先週水曜日に既に一報が出ていました。これまでなぜ、当ブログで取り上げなかったかといえば、まだ「試作車の登場」だけであるということと、あまりこの手の話題に飛びついても、鉄道趣味を先物取引みたいにしてしまうのではないかと思ったことが理由です。有体に言えば、そろそろ落ち着いてきたのでじっくり料理するか、ということでして。
それよりも、管理人がこのニュースを聞いて思うのは、もしかすると、昭和28(1953)年のキハ10系の登場以来、現在に至るまで60年以上揺らぐことのなかった
液体式の優位が崩れるのではないか
と思われるからです。
上記リリースにある「ハイブリッド式」とは、一部の自動車のように、エンジンとモーターを並列的に動力に利用する「パラレルハイブリッド」ではなく、エンジンを発電用に割り切り、蓄電池は余剰電力を貯め込んでおく「シリーズハイブリッド」であり、蓄電池を搭載していることを除けば、完全な電気式気動車です(液体式・電気式といった言葉の意味は、こちらを参照してください)。
わが国では気動車の黎明期、総括制御が容易で電車の技術を転用できる電気式が注目されていましたが、当時の非力なエンジンでは走行に十分な電力が得られず、しかも主電動機も重く非力なものだったため、車両自体の重量増という構造的な問題点と相まって、液体式に敗れてしまいました。それから半世紀以上経過後、今度はパワーエレクトロニクス技術の長足の進歩と、エンジン及びモーターの小型化・高出力化などによるエネルギー効率の向上などにより、かつて電気式が不利とされたパワー不足・重量増などはほぼ克服できています。となれば、電気式気動車のメリットである「電車の技術を応用できる」点が、液体式にはない最大のメリットとして生かせることになります。実際、モーターなど主要部品を電車と共通化してしまえば、メンテナンスコストは劇的に下がりますし、操作性も向上します。
そのようなメリットがあるからか、JR東日本ではハイブリッド車の導入を積極的に進めており、さらに近い将来JR北海道とも合同で、キハ40系の代替となる車両を電気式気動車として投入することを発表しています。
そこへもってきて、JR東海のキハ85系の代替車が、事実上の電気式であるハイブリッド車導入ということになれば、これは特急用気動車としては初のハイブリッド車ですから、そのインパクトは大きく、この車両の登場をきっかけに、ハイブリッド車が日本の気動車の多数派になることも十分予想されます。
とはいえ、液体式にも一日の長はあり、それは扱いやすさと、トルクコンバーター以外は動力伝達構造が単純であることです。さらに、電車のメンテナンスのノウハウがない事業者にはハイブリッド車(電気式)の導入が難しいことなどを考えれば(かつて北九州地区で電気式気動車を導入した際、当時の九州の国鉄には電化路線がなく、そのため九州の職員には電車のメンテナンスの経験がなかったことが、電気式気動車のメンテナンスに支障を来した)、液体式はそれなりの需要を維持し続けることになると思われ、駆逐されることはないでしょう。
あとはこの車両のエクステリアデザイン。
どう見ても近鉄特急だよな?
何でこんなのにしたんでしょうね(^_^;)
あれどう見ても、近鉄の11400系だろ…。
※ 当記事は、以前に書き貯めた記事の自動投稿です。