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4097.今月の鉄道本から~大手私鉄の保有車両数と路線総延長との関係

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今月の「鉄道本」は、「鉄道ファン」誌の2017年8月号。特集は「鉄道なんでも日本一」。これはこれで、非常に面白いテーマですから、特集としてはありだと思います。

今月号には「大手私鉄車両ファイル 車両配置表」なる別冊が増結されていて、資料性は高くなっています。

そこで気になった数字をピックアップしてみることにしました。勿論、内容を事細かに記すとネタバレになってしまいますので、公開情報から取れる数字のみとします。

まずは大手私鉄の保有車両数ランキング。

 

第1位.東京メトロ 2766両

第2位 近鉄 1915両

第3位 東武 1904両

第4位 阪急 1303両

第5位 西武 1266両

第6位 東急 1206両

第7位 小田急 1075両

第8位 名鉄 1070両

第9位 京王 847両

第10位 京急 796両

第11位 京阪 706両

第12位 南海 688両

第13位 京成 582両

第14位 相鉄 402両

第15位 阪神 361両

最下位 西鉄 333両

 

車両保有数第1位は東京メトロ。2位の近鉄を800両以上も引き離しています。近鉄の1915両に、京王の847両を足してもまだ4両足りないという、とんでもない大所帯です。

 

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2位以下をぶっちぎって第1位

 

これは、首都の膨大な輸送需要を長編成・高頻度運転によって捌く必要があるためで、車両数が多くなるのも当然のこと。2位は近鉄、3位が東武。これら2私鉄は、路線総延長が長いため、勢い保有車両数が多くなるということです。意外だったのは4位の阪急(1303両)。これは東急や小田急よりも多い数字ですが、やはり京都・神戸・宝塚の3大幹線で長編成・高頻度運転を行っていることによるものでしょう。

少ない方で言うと、意外だったのが西鉄の最下位。阪神や相鉄は路線総延長が短いので(路線総延長で言うと、阪神がブービーで相鉄が最下位)、無理からぬところはあります。

 

ここで路線総延長ランキングを見てみましょう。

 

第1位 近鉄 501.1km

第2位 東武 463.3km

第3位 名鉄 444.2 km

第4位 東京メトロ 195.1 km

第5位 西武 176.6 km

第6位 南海 154.8 km

第7位 京成 152.3 km

第8位 阪急 143.6 km

第9位 小田急 120.5 km

第10位 西鉄 106.1 km

第11位 東急 104.9 km

第12位 京阪 91.1 km

第13位 京急 87.0 km

第14位 京王 84.7 km

第15位 阪神 48.9 km

最下位 相鉄 35.9 km

 

路線総延長ビッグスリーの車両を並べてみました。あえてノーキャプションで。

 

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今は見ることのできないシチュエーションもありますが(^_^;)

 

近鉄・東武・名鉄が「ビッグスリー」であるのを別にすれば、あとは100km以下。4位の東京メトロが200kmに肉薄する数字なのが、いかに東京都心部に稠密な路線網を有するかの証左です。100km台でも後半はこの東京メトロと西武だけで、あとは100km台半ばが南海と京成、100km台前半が阪急・小田急・西鉄・東急の4社。残りの5社は100km以下で、最短が相鉄となっています。

 

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路線総延長最短の相鉄

 

ここで、路線総延長と保有車両数との関係を見てみることにしました。

割り出したのは、1キロ当たりの所要車両数。これは、保有車両数を路線総延長で割ったもので(小数点第3位以下は四捨五入)、この数値が大きければ大きいほど、輸送力は大きいことになります。勿論小さければその逆。勿論全車両が稼働しているわけではありませんし、有料特急車両と一般通勤車両の区別もありません。かつ、この車両数の中には事業用車両も含み、東急や京阪のように軌道線を保有する会社もあります。ですから、この数字は、これらの要因を全く計算に入れていない、いかにも乱暴な計算ではあります。しかし、1kmあたりどれだけの輸送力を持っているかという目安にはなると思います。

以下はその数字を大きい順に並べたものですが、いかがでしょうか?

 

第1位 東京メトロ 2766両÷195.1≒14.177

第2位 東急 1206両÷104.9≒11.500

第3位 相鉄 402両÷35.9≒11.198

第4位 京王 847両÷84.7=10

第5位 京急 796両÷87.0≒9.149

第6位 阪急 1303両÷143.6≒9.074

第7位 小田急 1075両÷120.5≒8.921

第8位 京阪 706両÷91.1≒7.750

第9位 阪神 361両÷48.9≒7.382

第10位 西武 1266両÷176.6≒7.169

第11位 南海 688両÷154.8≒4.444

第12位 東武 1904両÷463.3≒4.110

第13位 近鉄 1915両÷501.1≒3.822

第14位 京成 582両÷152.3≒3.821

第15位 西鉄 333両÷106.1≒3.139

最下位 名鉄 1070両÷444.2≒2.409

 

数値10に達しているのが東京メトロ・東急・相鉄・京王の4社。4社とも、所謂特急車や座席指定車はありませんが(乗り入れて来る列車を除く)、それだけ通勤通学輸送に特化した会社であり、それ故に大きな輸送力が求められた結果、数値が大きくなっているということはいえると思います。

 

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東急も第2位になる

 

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京王は第4位

 

上位4社は全て関東私鉄であり、いかに東京圏のラッシュが凄まじいかの現れともいえますが、最高が東京メトロの14.177というのは驚異的です。この数字は、1kmあたり14.177両の車両が稼働できることになるという数字。

そういう目で見ると、驚くのが相鉄の11.198という数値。同社は、大手私鉄としては路線総延長最短ですが、それだけ大量かつ効率的な輸送をしていることがうかがえます。

関西私鉄で最大値を叩き出したのは阪急で、その数値は9.074。これは上位4社と同じように、通勤通学輸送・都市間輸送に徹しているからこその数字といえます。

 

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関西私鉄では最大値を叩き出した

 

逆に路線総延長の割に低い数値なのが、東武、近鉄、名鉄の「ビッグスリー」。

この3社は短編成で賄える閑散路線を抱えていることから、1kmあたりの所要車両数が少なくなるものと思われます。近鉄は車両数の少ない京成と同レベルですし、名鉄など車両数最小の西鉄の3.139より低い2.409で最下位ですから、いかに1列車当たりの編成両数が少ないかが分かります。

 

大手私鉄の路線総延長と車両数との関係、いかがだったでしょうか。乱暴な計算ではありますし、東武のように、伊勢崎線や東上線で10連をガンガン走らせている一方で、ローカル線では2連が走っているなど、落差が大きい鉄道会社もありますから、一概には言えません。あくまで、一つの目安として見ていただければ、と思います。

 

※ 当記事で使用した写真は、全て以前の記事からの転載です。


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