Quantcast
Channel: さすらい館
Viewing all articles
Browse latest Browse all 4315

4206.国交省、地方私鉄に新車導入を助成へ

$
0
0

大手に比べると、どうしても新車投入がままならないことが悩みどころと言える、地方の中小の鉄道事業者。それでも静岡鉄道や遠州鉄道のように自前の新車を導入できたり、最近では沿線自治体の補助金の助成を受けることにより新車導入に成功する事業者(一畑、上信)もあったりしますが、このたび、国が新車投入に対する助成の制度を創設することになりました。

 

国交省 地方鉄道の新車購入補助へ 18年度から

 

老朽化が進む地方鉄道の車両の改善を後押ししようと、国土交通省が新型車の購入費や現行車の改良費への補助制度を2018年度に創設する方針を固めたことが5日、分かった。燃費が優れた新型ディーゼルカーや省エネタイプの電車の導入により運行コストを削減することで、鉄道会社の経営改善につなげる狙いだ。

18年度予算の概算要求に3億5千万円を計上し、車両購入費や改良費の最大3分の1を支援する仕組みを検討している。支援対象は中小私鉄や第三セクターなどの地方鉄道96社で、地元自治体による財政面などでの協力を条件にする方向で調整する。(共同)

 

毎日新聞ニュースサイトより)

 

確かに地方私鉄の場合、自助努力だけに委ねるのには限界があります。以前自前の新車を導入するだけの体力のあった、富山地方鉄道(富山地鉄)や長野電鉄(長電)も、現在では京阪・西武など大手の中古車を導入しています。

 

151101_130544.jpg

自前の新車14760形

 

151101_112911.jpg

元京阪の富山地鉄10020形

 

しかしこれ、実は車齢で言うと14760形<10020形(元京阪3000系)なのですよ。勿論、標準軌の京阪から狭軌の富山地鉄に移籍する際には、元営団5000系の走り装置に取り換えられていますが、それでもそれなりの年数が経過しています。

しかも、富山地鉄に限った話ではありませんが、大手の中古車というのは、元々それなりの走行距離を積み重ねて来ているもの。そのような車両ですから、老朽化もそこそこ進行しています。ということは、当然新車に比べれば耐用年数は月と鼈。もしかしたら、ランニングコストは中古車を導入し続ける方が高くつくのではないかとも思われます。

しかし、新車を導入できるまとまった費用は、地方私鉄にはままならない。

そこでこの制度の出番となるということでしょう。

この制度そのものは、非常に結構な制度であるといえます。大手の中古を喜ぶのは愛好家だけで、やはり利用者にとっても新車の方がいいに決まっていますから。それに最近の新車はメンテナンスフリー化が進んでいますから、中古車よりも保守点検にかかる費用を抑えることも可能になります。

 

さて、そうなると、この制度をより実効的にするためには、地方私鉄向けの標準設計の電車・気動車が必要になるものと思われます。

鉄道車両はかつては完全なオーダーメイドでしたから、設計・製造にかかるコストは高いものがありました。それが、電車ではかなりの程度に標準設計化が実現し、かつてほどはコストは高いものではなくなっています。多くの大手私鉄に、JR東日本のE231・233系の兄弟車や日立A-Trainが走り回っているのを見ると、そのことは顕著にわかります。

それと同じことを、地方私鉄向けにもできないものかと思います。気動車ではかつて、富士重工業(現スバル)が「LE-Car」という、ローカル線向けの標準設計の気動車を世に出したことがありますが、あれと同じものはできないだろうかと。

 

100612_054108.jpg

これがいいんじゃないですかね

 

JR西日本のキハ120は、ローカル線のコストダウンを狙って導入された車両ですが、車体の大きさも性能も、非電化ローカル私鉄にはなかなか使いやすいサイズではないか…と素人目にも思えます。ただし耐寒性能にはやや難があるような気もしますが。

電車だったら、JR四国7000系をベースにした車とか(一畑はこれを導入している。写真がなくてすみません)、あるいはその車体短縮バージョンとか。

 

これによる新車導入第一号がどこになるのか、その車はどのようなスペックをもって登場するのか、注目したいところです。

 

【おことわり】

当記事で使用した写真は、全て以前の記事からの転載です。また、投稿日を09/16付けにしております。

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 4315

Trending Articles