Twitterで話題になっていた、京急日ノ出町駅上りホームの柱のタイルアート。
そのタイルアートとは、この駅の開業当時の三浦半島を描き、そこに日ノ出町駅の位置を黒いタイルで書き込むというものです。ちなみに、海岸線はこの駅の開業当時(昭和6年12月)のものとなっています。
管理人は以前日ノ出町駅を訪れ、ネタ車両の撮影に興じたことがあるのですが、そのときには恥ずかしながら、上りホームのタイルアートには気づかないままでした。そこで見に行ってきた…という次第。
余計な説明は不要でしょうから、両側を撮影した写真の計2点、ノーキャプションでご覧いただきます。
2枚目の写真でお分かりかと思いますが、上方に黒い点のタイルが1点あります。実はこれ、日ノ出町駅の位置なんだとか。
ところで、三浦半島は要塞地帯とされて自由な旅行その他の立ち入りが制限されていたはずですが、よくぞ戦時中でもこのタイルアートが撤去されなかったものです。
海岸線は当時のものですが、特に横浜市域のそれは当時とは全く違ってしまったでしょうね。どこか別の場所にでも、現在の海岸線と京急の路線図を重ねた別のアート(タイルアートでなくてもよいが)を見てみたい気もします。
さて、日ノ出町駅はタイルアートのみならず「古レールアート」「鉄材アート」の宝庫でもあります。もっともこちらは実用的な構造物であり、アートと称するにはやや語弊がありますがご容赦を。
下り線を通過していく2100形による快特。
登場20年
今年で2100形は登場20年を迎えますが、京急のフラッグシップとしての立場は、いささかも揺らぐものではありません。
さて、まずは「古レールアート」をご覧いただきましょう。
冒頭の「タイルアート」が施された柱からは、屋根を支える柱として使われている古レールが伸びています。もっとも、古レールだけで構成されているわけではなく、別の鉄材も組み合されています。
3方向に古レールが伸びている
柱の上部を接写。
線路方向と両側
なかなかダイナミックな曲線を描いています。
下り線も同じような構造となっていますので、こちらをご覧いただくと、より構造がお分かりいただけると思います。
柱も同じ
ただし、下り線側には三浦半島のタイルアートは施されていません。
しかしこの写真、柱もそうですがホームの構造といい、古レールで組んだ屋根の柱といい、時代を感じさせる構造となっています。
以上は「古レールアート」ですが、こちらは上下線間の屋根にまたがって架線などを支える「鉄材アート」。
まずは横浜・品川方の構造物。
二重のアーチになっている
この二重のアーチ、緩やかな曲線が美しいと思います。
こちらは浦賀方の鉄材1本のアーチ。
こちらもシンプルな美しさがある
これらも開業当時からのものなのでしょうか。
最近、このような「古レールアート」というべき、古レールを活用した鉄道関係の建造物は減少する傾向にあるようです。その理由は、近年のレールは走行安定性などの観点から剛性が重視されるようになったため、加工がしにくくなり、その結果として転用のメリットがなくなったということです。
もしそうなら、日ノ出町駅にあるような「古レールアート」は、今後は貴重品になっていくのかもしれません。
◇関連記事
№3745.横浜いれぶん~日ノ出町駅で撮影した京急のネタ車両たち
※ 当記事は05/25付の投稿とします。