3.16ダイヤ改正では、特急「あずさ」「かいじ」のE257-0、はたまた「中央ライナー」「青梅ライナー」などのように、消えるものがいくつかありました。
今回取り上げるこの車両も例外ではありません。
先のダイヤ改正で、JR九州のローカル線で運用されていたキハ31形が全車両退役しました。最後は熊本に籍を置き、三角線などで使われていたようですが、香椎線の運用車両を若松線(折尾-若松間)と同じBEC819系「DENCHA」に置き換えたため、そこから押し出されたキハ47形などが熊本などへ転属、それで押し出されるキハ31形が退役するということです。
以前の記事でも紹介していますが、キハ31の来歴を簡単に。
国鉄民営化直前の昭和61(1986)年、経営基盤が脆弱なことが懸念された北海道・四国・九州のいわゆる「三島会社」について、新会社発足後の経営への負担を軽減しようと、新型車両を導入しました。それが北海道でのキハ54形500番代(キハ54-500)、四国でのキハ32・キハ54形0番代なのですが、九州でこれに当たるのが、今回取り上げるキハ31形。これらの車両は、車体長を抑えて小型化したり、軽量ステンレス車体を採用して車体を軽くしたりして、単位重量当たりの出力を向上させています。
キハ31形の場合、車体長16mと一般的な国鉄型気動車よりも短く、しかも随所にバス用の部品を使用するなどしてコストダウンを図っています。内装は、転換クロスシートとこれらの車両の中では「豪華仕様」ですが、これとて当時廃車が進んでいた新幹線0系の座席を転用したものです。
以前、キハ40系が導入されたとき、冷房が無かったことや凡庸な内装であったことなどが四国・九州の現場で落胆されたというお話を申し上げたことがありますが、もしかしたら当時、国鉄当局はそのことを分かっていて、あえて九州向けの車両には、廃車発生品とはいえ転換クロスシートを奢ったのかもしれません。しかし、もしそうなら四国の2形式がオールロングシートなのは何故なのかという疑問が湧きますが(^_^;)
ともあれ、これら車両は国鉄民営化直前の「駆け込み増備」で投入された車両に他ならず、そのためか見た目もキハ40系などのような純然たる国鉄型とは一線を画しているものですが、それでも国鉄時代に投入された車両であることは変わりなく、「国鉄型」であることもまた確かな車両です。
身なりはステンレスだが
車体中央部のサボ受け、車号の書体など、このあたりは国鉄仕様です。
内装を2点、あえてノーキャプションでご覧いただきます。
車内は横3列(1人掛け+2人掛け)となっており、これだけ記すとグリーン車のようですが、勿論混雑時を考慮して立席スペースを確保するためです。
2枚目の2人掛け座席は、モケットこそ張り替えられていますが、0系の転換クロスシートそのまんまです。
キハ31は昭和61(1986)年製ですから、つい最近のように思えても、既に32年の月日が経過しています。それ故、老朽化に伴う退役も致し方ないということでしょう。
しかし、軽量とはいえステンレス車体はそれなりに堅牢では…と思われるかもしれませんが、バス用部品を使用しているなど、そのあたりの老朽化も関係しているのかもしれません。それに何より、車体が小型で使い勝手が悪いことも影響しているのでしょう。
「最後の国鉄型」の全車退役の報に接し、管理人としては「国鉄は遠くなりにけり」との感慨一入です…。
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(今回使用した写真は、全てこの記事からの転載です)
※ 当記事は03/16付の投稿とします。