№2748.の記事の続きです。
武庫川駅からは阪神の支線、武庫川線に乗ります。
武庫川線は2両編成の電車がのんびりと往来する、ローカル線の味わいを持った路線として有名です。かつては3301形の単行運転が見られましたが、現在は武庫川団地前まで延伸され朝夕の通勤客も増えたため、2両編成に置き換えられました。ただし、その編成は本線からはとっくに退いた7901形が用いられています。
7001・7101形を種車とする2000系が退役した今となっては、阪神「赤胴車」のDNAを最も色濃く受け継ぐ車両といえますが、武庫川線用に2連3本が残るのみとなっています。
最後のご奉公
6連で阪神間を疾走していたころの面影はありませんが…。
この車両、現在の大手私鉄では有料特急用を除くと極めて珍しくなった、片開き扉を備えています。

何となくレトロな感じ
有料特急用以外で片開き扉を採用している大手私鉄の車両は、これと京阪8000系、あとは京急800形くらいでしょうか。
車内はこんな感じです。

清潔感は保たれている
ちょっと造作が古臭いところはありますが、手入れが行き届いているように見え、清潔感は保たれていました。
そしてドア上部には、阪神の路線案内図が。乗り入れ相手の山陽電鉄、近鉄(奈良線)も描かれています。

世が世ならこの車両が…。
実は阪神の7801・7901形は、西大阪線(阪神なんば線の前身)延伸後近鉄との相互直通運転に使用される予定があったらしいのですね。その後、西大阪線の難波延伸が沿線住民の反対運動などで一旦頓挫してしまったため、結局この系列は近鉄への乗り入れの対象から外されてしまいました。実際の近鉄乗り入れは、1000系や9000系が担当しています。
発車すると、電車は武庫川の川沿い、堤防に沿ってゆっくりと進みます。東武伊勢崎線の鐘ヶ淵-堀切間にもなんとなく似ていますが、こちらは単線なので、複線の東武とは印象が異なります。
団地の中を進み、武庫川発車から10分足らずで武庫川団地前駅へ。

現在の終着駅
かつては、武庫川線の終点は一つ手前の洲先(現在の駅)でした。武庫川団地前駅があったあたりは、かつての洲先駅があったそうで、戦時中に休止していた路線を復活させたものといえるでしょう。
駅の配線は一応1面2線なのですが、駅舎から離れた1線(下写真の左側)は使われていません。

なぜか使われていない左側の1線
武庫川団地前停車中の車両から、使われていないホームを見ます。

なぜ使われていないのだろう?
この近くに何かイベント会場でもあって、そのための臨時ホームというならわかりますが、このあたりにはそういうものはありませんしね。
感想。
1000系の2連に置き換えられても全くおかしくないのに、もはや旧世代ともいえる7901形が残っているのは、短区間かつ運転間隔が開いているため、回生ブレーキの省エネ効果が期待できないからなのでしょう。それなら従来車でいいや、ということで、それ故に「赤胴車」の活躍が続いているのですが、昔ながらの「赤胴車」はもはやここだけ。往年の走りは期待できませんが、それでも元気に活躍している車両は、一見の価値はあると思います。
管理人は、同じ電車で今来た道を戻って武庫川へ。
武庫川からは、かつて国鉄(→JR)の甲子園口まで続いていたという、武庫川線の廃線跡の探索に向かいます。
※ 当記事は04/02付の投稿とします。