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Channel: さすらい館
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2757.30年越しの構想実現~しかし状況は余りにも変わりすぎ…

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写真はJR宝塚駅で撮影した「こうのとり」です。
「こうのとり」には、かつて485系を直流化改造した183系800番代が使用されていましたが、現在は新車287系が投入されました。しかし287系は全ての列車を置き換えたわけではなく、それ以外には、写真の381系が使用されています。

しかし管理人は、「381系の『こうのとり』」というと、何となく複雑な思いを持ってしまうんですよね。
それはなぜかというと、福知山線電化完成の暁には381系の投入が噂されていたからです。

福知山線の電化の完成は、国鉄最末期の昭和61(1986)年11月ですが、このころは民営化を間近にしていて、潤沢な予算などありませんでした。そのため、当初の381系投入計画は白紙にされ、一時的に「くろしお」で使っていた485系を投入しています。しかも列車の愛称も、沿線の自治体は「こうのとり」を希望したそうですが、語呂もそれほどよくない「北近畿」となってしまいました。「こうのとり」に愛称が改められたのは、つい最近のことです。


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福知山線電車特急の歴史はこの車両から始まった(以前の記事から転載)

現在福知山線で使われている381系は、振り子機能を殺して運用されています。
理由は、381系が振り子機能を作動させると、車体の大きな傾きに伴ってパンタグラフも追随するのですが、そうなると架線からパンタグラフが離線する危険性があるためです。そのため、過去に381系が投入された線区はどこも、パンタグラフの傾きに対応するように架線が張られています。
従って、381系は地上、つまり架線の対応がないと振り子装置を作動させることができないということです。

JR発足後の振り子車両は、この問題に関して車体の傾きにパンタグラフが追随しないよう、台車に直結する櫓を建ててその上にパンタグラフを置いたり(JR東日本E351系など)、ワイヤーを用いてパンタグラフの位置を一定にする(JR四国8000系)などの工夫を施しています。

現在は287系が投入され、また北陸新幹線開業後には「はくたか」運用を追われた681・683系が投入されるといわれていますが、381系が「こうのとり」のヘッドマークをかざして、振り子を作動させてカーブを高速で疾走する姿を見てみたかったような気もします。
当初構想が30年近い時を経て実現したにもかかわらず、381系最大の売りである振り子機能は殺され、しかも周囲の状況も激変してしまいました。運命の悪戯という皮肉、時の流れの残酷さに思いを致さざるを得ません。

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